中山美穂さん急逝から1週間、「人生の中にはたくさんのサヨナラがあって…」芸能活動再開の取材思い出し涙

◇コラム「芸能リポーター・山﨑寛代のぶっちゃけトーク」 12月6日に急逝した中山美穂さんは80年代のトップアイドルで俳優としても活躍したほか、プライベートでは2002年に小説家の辻仁成さんと電撃結婚。当時、辻さんが初対面で「やっと会えたね」と運命的な出会いであったことは有名な話です。その後、中山さんはパリへ移住し、芸能活動を休止しました。 私が中山さんの取材で印象に残っているのは、2010年に公開された映画『サヨナライツカ』で12年ぶりに芸能活動を再開された時。公開にあわせて単独インタビューをしたのですが、この時の中山さんの圧倒的な美しさ、部屋に入って来た瞬間に芸能活動を長く休んでいたとは思えない、引き込まれるオーラを感じたのをよく覚えています。インタビュー中は私の目をしっかり見て、言葉を選びながら話してくれる誠実さ。子育てのこともフランクに語ってくれました。雰囲気が柔らかくなって、母親としての魅力が加わった感じ。女性としての魅力が増したように感じました。 『サヨナライツカ』は辻さんのベストセラーが原作。タイトルが持つ意味を尋ねると、「人生の中にはたくさんのサヨナラがあって。でも、その同じ数だけの出会いがあって、その繰り返しの中に永遠がある」という話をされていました。決して悲しみではないという意味だったんだと思います。亡くなって1週間が過ぎましたが、今、その言葉が思い出されて、涙が出てしまいます。 インタビューの最後に「好きなフランス語は何ですか?」と尋ねると、中山さんは「セラヴィ」とおっしゃいました。「それが人生」という意味なんですよね。あんなに輝いていた芸能活動を辞めて、愛にいちずに走ってフランスに行かれて。中山さんは自分の気持ちに正直に生き、後悔はしない生き方をしてきた人なんだと思いました。そして「セラヴィ」と言葉にした中山さんの凛(りん)とした表情、中山さんの人生を感じました。 デビュー30周年の節目に本格的な舞台に初挑戦した中山さん。東京・下北沢の本多劇場で上演された4人芝居『魔術』。当時、中山さんを取材すると、「ずっとこういう舞台がやりたかった。まだ新しいことに挑戦できることはすごく楽しい」と話しておられました。トップアイドルだった中山さんが年齢を重ねて、新しいことに挑戦していく姿を素晴らしいと感じたのを覚えています。 あまりにも突然の訃報で、悲しみはまだ癒えませんが、”中山美穂”は芸能界で唯一無二の存在感を示してきた女性でした。サヨナライツカ。永遠であり続けます。 ▼山﨑寛代(やまざき・ひろよ) FM群馬での勤務を経て、TBS系「3時に会いましょう」「スーパーワイド」、テレビ朝日系「スーパーモーニング」などワイドショー・情報番組でリポーターを務める。朝日放送系「おはようコールABC」出演を機に芸能リポーターとして、現在はテレビ朝日系「羽鳥慎一のモーニングショー」、福岡放送「めんたいワイド」に出演中。旧ジャニーズ事務所や歌舞伎などを中心に取材している。  

辻仁成氏、元妻中山美穂さんの葬儀の日に「自分の世界に閉じこもるのに…」と公式ブログに記す

芥川賞作家でミュージシャンの辻仁成氏(65)が12日、自身の公式ブログを更新。54歳の若さで6日に不慮の事故で亡くなった元妻の中山美穂さんの葬儀が行われた日にブログを更新した。 フランスごはん日記「窓をあけ、穏やかなノルマンディの海を眺めながら」と題した文章をアップ。 「某月某日、今日はずっと海を見ていた。ノルマンディの曇り空を眺めながら、油絵を何枚か描いた。(何枚か、というのは、スケッチのような、ラフな下書きのようなもの、完成には程遠いもの)空と海の境目のあまりはっきりとしないあたりを眺めているのが落ち着くのだった」と書き出した。 続けて「いや、正確には、もわもわ、落ち着かないのだけれど、でも、海と空の境目って、色が混ざり合って、感情が漂流しているような不思議なニュアンスがあり、そこを凝視して、カンバスに色を叩いていると、とんとんとん、心をタップされているような感じになる」とした上で「ドレミファソラシドのような音階がきれいに分かれていることを、『平均律』というのだけれど、そういう絵を描いたのだった。自分の世界に閉じこもるのに、絵を描く行為は悪くない」とつづった。 さらに「何をしていいのか、あまりよくわからない時に、絵を描くと、好きな世界が生まれる。そういう気分の時、小説は気が進まないのだけれど、絵は、心を無にしてくれる。空と海の境目は、今日の気分にちょうどいい。窓をあけ、目の前に広がる英仏海峡のあいまいな境界線を睨みつけ、そこから喚起されるイメージを白いカンバスに好きなだけ、広げてみた」と記述。最後に「絵は無になる、と描いたが、寝ている時に夢を見るような感じで勝手に脳が動いて、隠している感情を表に出そうとしてくることもある。そういう時に絵筆が止まって、しばらく、塗りたくられた油絵の上で、過去とかが、錯そうするのだった」と締めくくった。 辻氏と中山さんは2002年(平14)6月に交際8カ月で結婚。03年にパリに移住して、04年1月に長男が生まれたが、14年7月8日に離婚した。 12日には家族葬が行われ、家族と事務所関係者のみが参列した。妹で女優の中山忍(51)が喪主を務め、長男(20)もフランスから駆けつけた。深紅のダリアなど式場全体が花に包まれ、一時代を築いたアイドルの旅立ちを見送った。来年に「お別れの会」を行う予定。  

中山美穂さんの悲劇で注目の「ヒートショック」対策 断熱ジャーナリストは「3LDKマンションなら20万円台で可能」補助金でほぼ半額に

12月6日に日本を駆け巡った突然の悲しい知らせ。女優で歌手の中山美穂さんが54歳で急逝したのである。事務所の発表によれば、死因は「入浴中に起きた不慮の事故」だという。“事故”の詳しい内容は明らかになっていないが、SNSでは「ヒートショック」が関係しているのでは、という投稿も相次いだ。 12月6日の東京の最低気温は5.2℃ ヒートショックとは、急激な血圧の変動が引き起こす体の不調のことで、重篤なケースでは失神や心筋梗塞、脳梗塞により、命にかかわることもある。 特に風呂場で起きやすいと言われているが、その理由は“温度差”にある。冬の日本では暖房の効いたリビングと、無暖房の脱衣所やトイレとの温度差が全国平均で15℃もあるというのだ。暖かいリビングから寒い脱衣所に移動し、さらに服を脱ぐことで血圧が急上昇。そして今度は熱い湯船に浸かった途端、血圧が一気に下がるというメカニズムだ。 暖かいリビングから寒い脱衣所に移動し、服を脱ぐと血圧が急上昇 この急激な血圧の上昇・下降の繰り返しが、脳や心臓、血管にダメージを与えることで、失神や心筋梗塞、脳梗塞を引き起こしてしまうのである。また、水の張られた浴槽内で意識を失った場合には、溺死の危険性もある。ヒートショックは死に直結する非常に恐ろしい現象なのだ。 中山さんの訃報が報じられた12月6日の東京の最低気温は5.2℃で、前日の8.9℃から一気に下がっていた。先週末から急激に冷え込んだ関東地方では、風呂場で寒い思いをした人も多かったのだろう。中山さんの訃報を聞き、「ヒートショック」を連想した人が多くいたことも頷ける。 ところで、ヒートショックを引き起こす住宅内の“温度差”は、日本の住宅性能に起因する「特有の問題」であることはご存じだろうか。 日本の住宅は国際的な基準では無断熱に近い 日本の住宅性能に詳しいノンフィクションライターで、『「断熱」が日本を救う』(集英社新書)の著作のある高橋真樹氏は、“断熱ジャーナリスト”としても活動している。高橋氏は、 「中山さんの死因と直接の関係があるかは分かりませんが」 と断った上で、このように指摘する。 「消費者庁の統計によると、住宅のお風呂で溺死する65歳以上の高齢者は、年間に約5000人いるとされます。また別の推計では、入浴中に倒れて他の疾病で亡くなる方は、年間に約1万7000人にのぼるとも言われます。全国の交通事故の死亡者数は2022年で2610人。この推計値で比較すると、6倍以上になります。そして、その大きな要因となっているのが、日本の住宅の断熱性能の低さなのです」(高橋氏) というのも2022年4月まで、日本の断熱性能は1~4の4段階評価で、「開口部に複層ガラスを用いる」と規定される「4」が最高等級と位置付けられてきたが、 「実は2023年の時点で、既存住宅5000万戸のうち、最高等級4の基準を満たしている住居はわずかに13%しかありません。しかも、その等級4の基準自体、国際的に見ると極めて低い断熱性能なのです」(同) 国も問題意識は持っており、この「断熱性能基準」は、2022年に5~7が新設され、全7段階となった。さらに2025年4月からは新たに建築される住戸すべてが等級4の条件を満たすことが義務付けられることになった。 「大きな前進ではあるものの、対象はあくまで4月以降に建てられる新築ですから、既存住宅の断熱性能とは関係がありません」(同) アルミサッシの窓は“最悪” WHO(世界保健機関)は、「住宅と健康ガイドライン」の中で、寒さから健康を守るための最低室温の基準を18℃と設定している。基準の参考元となったイギリス保健省の調査では、室温が18℃未満では血圧上昇や循環器系疾患に影響し、16℃未満では呼吸器系疾患に繋がるとの結果も報告されているという。 「日本の最低室温については、断熱改修を予定している住宅の約9割で室温が18℃を下回っているという測定結果もあります。日本では多くの家がWHOの基準を満たしておらず、国際レベルでは“違法建築”とも呼べる状況となっているのです」(高橋氏) なぜ日本の住宅はこれほどまでに“寒い”のか。 「断熱材が敷設されているかどうかなど、色々な要因があるのですが、1番分かりやすいのが“窓”です。住宅が外気温の影響を受ける割合は、戸建てで約5割、マンションでも3~4割は窓による影響と考えていいでしょう」(同) 戸建ての方が影響が大きいのは、窓が大きく、数も多くなりがちだからだ。また、日本の住宅で特に窓が問題とされるのは、その材質と構造に理由がある。 「住宅の中でもっとも熱が出入りする、窓やドアなどの開口部からは、夏は74%の熱が侵入し、冬は50%の熱が出て行ってしまいます。日本の窓で問題なのは、いまだに多くの住宅でアルミサッシが採用されていること。欧米で使われる樹脂製や木製の窓枠と比較し、アルミサッシの熱伝導率は1200倍にもなります。実は、冬に気温が下がる先進国でアルミサッシが重用されているのは日本だけなのです」(同) ちなみに、中山美穂さんの住居は70平米ほどのマンションだったと言われているが、リノベーションで壁をなくした「吹き抜け構造」だったとも報じられている。 「吹き抜け構造の住居の場合、特に暖房効率が悪くなりますので、断熱性能が高くないと、部屋全体が寒くなりやすいということは言えると思います」(同) 意外とお手頃な「内窓追加」 日本の住宅の断熱性能については、こんな興味深いデータもある。…